1 名前:幽斎 ★[] 投稿日:2014/08/16(土) 13:22:48.94 ID:???
森永製菓、「ウイダーinゼリー」まさかの躓き
佐藤可士和氏による大リニューアルの結果は…
http://toyokeizai.net/articles/-/45563

「新しい価値観を世の中に提示していく」――。
こう掲げて今年3月、森永製菓は主力商品「ウイダーinゼリー」のラインナップとコンセプトを一新する、大リニューアルを実施した。
従来の「エネルギー」「マルチビタミン」「プロテイン」という機能性を軸にしたラインナップから、
「エネルギー」「カロリーハーフ」「カロリーゼロ」というカロリー別のラインナップに変更。
リニューアル会見では「ウイダーのブランドコンセプトに時代のニーズをプラスした」と自信を見せていた。しかし、わずか4カ月で、このリニューアルは見直しを余儀なくされることとなった。

ウイダーinゼリーは1994年に発売された、ゼリー飲料のパイオニア的商品だ。
当時、朝食をとらない人が増加し始めたことに着眼し、1個でごはん1杯分のエネルギー(180キロカロリー)を
摂れる手軽さを売りにした。そして99年、SMAPの木村拓哉氏が出演した「10秒チャージ2時間キープ」
というキャッチコピーのCMが話題を呼び、売上高が飛躍的に拡大。
現在では、森永製菓の年間売上高1646億円(2013年度)のうち約300億円を占める、同社ナンバーワン商品に成長している。

ただここ10年、ウイダーinゼリーの売上高は横ばい状態にあった。その原因について、
「現在の20歳から30歳くらいの人たちにとって、ウイダーinゼリーは子供のころから当たり前にあるもの。
どうしても目新しさはなくなっている」。森永製菓が4月のリニューアル会見で配布した資料で、
松崎勲・執行役員も率直に語っていた。そこで発売20周年を機に、「発売当初の驚きをもう一度取り戻そうと、リニューアルすることにした」(同)という。

リニューアルに際し、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏を招聘。
ファーストリテイリングや楽天といった企業だけでなく、SMAP、新国立美術館、明治学院大学など、
あらゆるジャンルのブランド戦略を手掛けてきた人物だ。セブン-イレブン・ジャパンのPBブランド「セブンプレミアム」のリニューアルでは、
「それまでほとんど売れていなかった折りたたみ傘が、佐藤氏のデザインで発売したら晴れの日でも売れるようになった」という逸話もある。
その佐藤氏が、今回のリニューアルではデザインのみならず、クリエイティブディレクターとして、
ブランドコンセプトの設計からコミュニケーション戦略まで、トータルでプロジェクトに参画したのだ。
ところが、である。こうして実現した大幅刷新だが、8月6日に発表された第1四半期決算で、
驚くべき結果が明らかになった。ウイダーinゼリーの売上高が前年同期比1割減になっていたからだ。

森永製菓はその原因について、「リニューアルのコンセプトを浸透することができなかった」と説明する。
カロリーのない「カロリーゼロ」が比較的好調な一方、1個90キロカロリーの「カロリーハーフ」が苦戦。
「カロリーハーフ」はリニューアル前の「マルチビタミン」をベースとする商品だが、カロリーゼロでも、
エネルギー補給ができるわけでもない、「カロリーハーフ」に置き換えたことで、その価値を訴求しにくくなったものと見られる。
売り上げ不振を受け、森永製菓は早くも7月、急遽「カロリーハーフ」を「マルチビタミン」に戻す“再リニューアル”を実施。「カロリーハーフ」は4カ月足らずで姿を消すこととなった。

同社は今後、現在販売中の「エネルギーレモン」や「エネルギービッグ」といった期間限定フレーバーや大容量品の投入で
底上げを図る見通しだ。また、引き続き佐藤氏はブランド戦略に携わるとしている。
“可士和マジック”で華々しい20周年とするはずが、出鼻をくじかれたウイダーinゼリー。
再びの方針転換で、よい1年とすることができるのか。今後の戦略から目が離せない。

文中、松崎勲氏の「崎」は正しくは「大」の部分が「立」です)


3月にリニューアル発売された「カロリーハーフ」(左)は、4カ月で前身の「マルチビタミン」(右)に戻された (出所)森永製菓のパンフレットおよびHPから作成